高齢化社会が進行する中,結婚相談所業務を行う際に,結婚を求める高齢者のお客様からのご相談を受けることもあるかと思います。結婚を求める高齢者の方にとって、パートナーが亡くなった際の遺族年金の支給は、その後の人生設計において非常に大きな意味を持ちますから、関心の高い事柄なのではないでしょうか。
さて、「遺族年金」と一口に申しましても、その内容は、お亡くなりになった配偶者の生前の仕事によって、遺族基礎年金、遺族厚生年金があります。これは、生前の国民年金、厚生年金と同じように考えて頂ければ結構です。
そして,これら二種類の遺族年金は、それぞれ受給の要件が異なりますので、注意しなければいけない点もそれぞれ異なることとなります。
まず、遺族基礎年金についてです。生前に自営業であった場合には遺族基礎年金のみが支給され,生前に会社員であった場合には遺族厚生年金に合わせて遺族基礎年金が支給されることとなります。
遺族基礎年金の支給要件は,亡くなった方によって生計を維持されていた,18歳未満の子が存在するかどうかによって判断されます(その他,年収が一定額以下であることなどの要件があります)。
したがいまして,遺族基礎年金については,高齢者同士の婚姻であったとしても,要件を充足する子が存在する場合には,受給することができるということになります。
次に,遺族厚生年金ですが,こちらもまた,亡くなった方によって生計を維持されていた場合には受給することができます。
年齢的な要件については,妻は常に受け取ることができ(ただし,30歳未満の場合には受給期間は5年間とされます。),夫は,妻の死亡時に55歳以上の場合のみ支給されることとなっています(ただし,遺族基礎年金と同時に受給できない場合には,60歳
まで支給が停止されます。)。
したがいまして,遺族厚生年金についても,高齢者同士の婚姻であったとしても,問題なく受給ができるということとなります。
なお,生前の年金の支給額について少し付け加えますと,入籍時が高齢となり,既に配偶者の年金が,定額部分についても支給された後の入籍である場合には,早期に入籍した場合に比べて,配偶者の年金の支給額が減少することとなります。
したがいまして,生前の年金の支給額を考えるのであれば,お互いに高齢である場合には,できる限り早く入籍しておいた方が総支給額が多くなるといえます。